romancista |
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福岡市博物館で3月25日より開催中の特別展に関連の話をさせていただきます。
・・・で、いきなりその1なのは、どうも大掛かりな内容なので1度で語れないからです。
あまり知識もなく飛びこんでしまったし、せいぜい嘘を書かないように注意せねば。
最初はマヤ文明、次がアステカ、最後にインカと連載します。(週刊くらい)
○マヤ文明○
マヤインカアステカの中でもっとも古くからあったのがマヤ文明です。今のグアテマラ付近に多数の都市が栄えた密林の文明。ということで、会場に入ると地図の次にどーんと石碑が立ち、ジャングルの雰囲気。
TVでも放映されましたが、マヤには大きな河がありません。だから、ひとつの言語と文化を共有する都市国家がそのままネットワークだけをつなげて、共存共栄していたのでした。戦争も不意打ちはせずに、金星の位置によって始め、しかも戦争をするのは王と貴族くらいで、平民は巻き込まれず、負けた国が滅ぼされることもありませんでした。ただし、生贄の習慣はありました。雨は人の力で降らせることはできないので、人柱が必要という考えからです。戦争捕虜にした敵国の貴族や王を神々に捧げるというのもありました。
そんな国のひとつであったティカルは、街全体を微妙に傾けて、防水加工に漆喰を塗り、降った雨水を貯水池に誘導したそうです。そうやって水を確保できたティカルは繁栄するわけですが、繁栄すれば人口が増加する、その人たちが食べていくために農地が増加する。マヤの農作業は今でも焼畑です。その年に植え付ける範囲だけを焼いて耕作することで、森の再生を促し、決して全部を焼き払ってしまわない。それがルールですが、繁栄しすぎたティカルは、とうとう森を失ってしまいました。その結果どうなったか。作物が採れないばかりか、水の確保にも支障をきたすので、労働力が流出し食料も不足します。それを補うために、ティカルは近隣の都市に攻撃をしかけ略奪し破壊しました。
天体の動きに精通し、少ない水を見事にコントロールし、芸術性の高い文字や装飾を丁寧に創造し、壮麗な神殿をつくり、栄華を誇った王たちに守られていた、マヤ文明のエースとでも呼べそうなティカル。しかしながら、マヤの戦争に関する暗黙のルールと、環境と都市発展のバランスという大切なものを、ティカルは破ってしまったのです。
マヤは、最終的にはスペイン人の征服により(特に、スペイン人が持ちこんだ疫病により)滅亡し、以後数百年にわたり、密林に眠っていました。空撮の映像は(気持ち悪くならないように気をつけて!)、ジャングルに埋もれて見えるティカルの神殿を捉えています。今は石だけの灰色の神殿ですが、本来は赤く塗られていたそうです。滴るような緑の中の真紅の神殿は、一体どんな風に見えたでしょうか。
・・・で、いきなりその1なのは、どうも大掛かりな内容なので1度で語れないからです。
あまり知識もなく飛びこんでしまったし、せいぜい嘘を書かないように注意せねば。
最初はマヤ文明、次がアステカ、最後にインカと連載します。(週刊くらい)
○マヤ文明○
マヤインカアステカの中でもっとも古くからあったのがマヤ文明です。今のグアテマラ付近に多数の都市が栄えた密林の文明。ということで、会場に入ると地図の次にどーんと石碑が立ち、ジャングルの雰囲気。
TVでも放映されましたが、マヤには大きな河がありません。だから、ひとつの言語と文化を共有する都市国家がそのままネットワークだけをつなげて、共存共栄していたのでした。戦争も不意打ちはせずに、金星の位置によって始め、しかも戦争をするのは王と貴族くらいで、平民は巻き込まれず、負けた国が滅ぼされることもありませんでした。ただし、生贄の習慣はありました。雨は人の力で降らせることはできないので、人柱が必要という考えからです。戦争捕虜にした敵国の貴族や王を神々に捧げるというのもありました。
そんな国のひとつであったティカルは、街全体を微妙に傾けて、防水加工に漆喰を塗り、降った雨水を貯水池に誘導したそうです。そうやって水を確保できたティカルは繁栄するわけですが、繁栄すれば人口が増加する、その人たちが食べていくために農地が増加する。マヤの農作業は今でも焼畑です。その年に植え付ける範囲だけを焼いて耕作することで、森の再生を促し、決して全部を焼き払ってしまわない。それがルールですが、繁栄しすぎたティカルは、とうとう森を失ってしまいました。その結果どうなったか。作物が採れないばかりか、水の確保にも支障をきたすので、労働力が流出し食料も不足します。それを補うために、ティカルは近隣の都市に攻撃をしかけ略奪し破壊しました。
天体の動きに精通し、少ない水を見事にコントロールし、芸術性の高い文字や装飾を丁寧に創造し、壮麗な神殿をつくり、栄華を誇った王たちに守られていた、マヤ文明のエースとでも呼べそうなティカル。しかしながら、マヤの戦争に関する暗黙のルールと、環境と都市発展のバランスという大切なものを、ティカルは破ってしまったのです。
マヤは、最終的にはスペイン人の征服により(特に、スペイン人が持ちこんだ疫病により)滅亡し、以後数百年にわたり、密林に眠っていました。空撮の映像は(気持ち悪くならないように気をつけて!)、ジャングルに埋もれて見えるティカルの神殿を捉えています。今は石だけの灰色の神殿ですが、本来は赤く塗られていたそうです。滴るような緑の中の真紅の神殿は、一体どんな風に見えたでしょうか。
マヤとくれば翡翠(ひすい)です。その緑色は、生命と水のしるしであり、そのため緑が高貴な色といわれていたらしいです。翡翠の仮面に関しては、ティカルのライバル都市国家であったカラクムルで多く出土しています。
ケツァールというのは、神様の名前ケツァルコアトルでもあるし、現存する鳥の名前でもある(コスタリカの「虹の鳥」といわれる)。その鳥の尾が長くて美しいので、飾りにしてかぶっていたみたいです。
神様のほうは別名ククルカンという翼のあるヘビであって、豊穣の神らしい。その神が降臨するのは春分の日。チチェン・イツァにはこの日の午後3時半からヘビの姿が現れる建物があるのです。今では観光客がヘビが見えたといって喜んでいる。でも実は、マヤの人々がタネを播く時期を合図するという、もっとも大切な役割があったようです。
マヤではカカオもありました。チョコレートはどろっとしている=血液との類似、カカオの形=心臓の形に類似、というので、チョコレートは神の飲み物ともされていました。その後、スペインが入りこんだ頃には、カカオが貨幣として使われていたという記録があるそうです。
天体に通じていたマヤでは独特の暦がありますが、金星についてもほぼ正確な周期を出しています。金星は、宵の明星、明けの明星という位置にくるため、戦争をするタイミングにしていたそうです。ラ・アメリアの石版の人物は、この金星をモチーフにした装飾をつけています。そしてまた、金星=ククルカンでもあるので、マヤの信仰はこれでひと周りして通じてますね。
ケツァールというのは、神様の名前ケツァルコアトルでもあるし、現存する鳥の名前でもある(コスタリカの「虹の鳥」といわれる)。その鳥の尾が長くて美しいので、飾りにしてかぶっていたみたいです。
神様のほうは別名ククルカンという翼のあるヘビであって、豊穣の神らしい。その神が降臨するのは春分の日。チチェン・イツァにはこの日の午後3時半からヘビの姿が現れる建物があるのです。今では観光客がヘビが見えたといって喜んでいる。でも実は、マヤの人々がタネを播く時期を合図するという、もっとも大切な役割があったようです。
マヤではカカオもありました。チョコレートはどろっとしている=血液との類似、カカオの形=心臓の形に類似、というので、チョコレートは神の飲み物ともされていました。その後、スペインが入りこんだ頃には、カカオが貨幣として使われていたという記録があるそうです。
天体に通じていたマヤでは独特の暦がありますが、金星についてもほぼ正確な周期を出しています。金星は、宵の明星、明けの明星という位置にくるため、戦争をするタイミングにしていたそうです。ラ・アメリアの石版の人物は、この金星をモチーフにした装飾をつけています。そしてまた、金星=ククルカンでもあるので、マヤの信仰はこれでひと周りして通じてますね。
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COMMENTS
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いきなりオウムに「アロハ」と言われてビビリました。
たまの休みに、これだけの文章書いて、すごい!!
分り易い解説でした。
<戦争に関する暗黙のルールと、環境と都市発展のバランスという大切なものを、ティカルは破ってしまった>
という、くだりのところが好きです。
滅亡するということは、いつでもこういうところから始まるのだろうね。
歴史を振り返るときには、ノスタルジーに浸るだけではなく、未来へ通じる重要なヒントがそこにあるのだということを忘れずにいたいです。
観にいく時には、子供らにそのことを伝えたいと思います。
お仕事、頑張れ。
たまの休みに、これだけの文章書いて、すごい!!
分り易い解説でした。
<戦争に関する暗黙のルールと、環境と都市発展のバランスという大切なものを、ティカルは破ってしまった>
という、くだりのところが好きです。
滅亡するということは、いつでもこういうところから始まるのだろうね。
歴史を振り返るときには、ノスタルジーに浸るだけではなく、未来へ通じる重要なヒントがそこにあるのだということを忘れずにいたいです。
観にいく時には、子供らにそのことを伝えたいと思います。
お仕事、頑張れ。