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romancista
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前に『幽霊たち』を読んで全然ピンと来なかったのですが、そろそろほとぼりが冷めてまた読んで見る気になりました。
舞台はNY。深夜の謎の電話。妻子をなくし、今は細々と推理小説を書いているクインを、探偵と間違えて依頼したいという内容です。クインは最初は間違い電話ですと拒むのですが、相手の強引さに好奇心が芽生え、相手が間違えている探偵ポール・オースターになりすまして、事件の解決を引きうけます。

ポール・オースターは当然ながら作者の名前。書いている小説の中の探偵はマックス・ワーク。
ペンネームがウイリアム・ウィルソン。このペンネームもポーの小説の主人公を連想させます。

事件は、息子を虐待した学者が刑期を終えて、息子に復讐しに来るに違いない、という、それだけ見るとこれからサスペンスになっていくのかという設定ですが、そうはなりません。クインはその老学者の行動を徹底的に尾行し、たどった足取りを記録します。その記録が図形を描いていて、数日のうちに「THE TOWER OF BABEL」と綴るという・・・・・・。
それでクインは老学者と接触し、そこでは言語哲学めいたやりとりこそありますが、事件のにおいは全くなし。日に何度も会うのに、老学者はクインを見知った人物であることすら忘れています。依頼者と連絡はつかなくなる、ポール・オースター宛ての小切手はつき返されたと言う、それなのに何ヶ月も無償で、老学者の入った安ホテルを見張るクイン。
尾行中に、自分の本を読む若い女を見て、つい感想を尋ねると、可もなく不可もなくという感じで、冷静過ぎる答えが返って来ます。(作家としてこれは面白くありませんよね。)そのささいな出来事とつながる、最後のクインの失踪に至るまでの流れが変化するモザイク図形か何かのようで、もはやストーリーを追うという意味での小説としてはどうなのか?と思われる、カフカ的世界でありました。カフカは好きでしたが時代性というのもやはりあるので、それを目一杯現代版にしてくれていること、それから、この作品の迷宮は文学と言語をメインに出来あがっているらしいことは嬉しかったです。(City of Glass 角川文庫・訳=山本楡美子/郷原宏)
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