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romancista
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小雨の金曜日は狙い目ビンゴ!だったようで、ガラ空きでした。
場所は県立美術館。ちょっと狭いけれど作品が小さいのであまり気にならず。

初期のドローイングが好きでした。とにかく緻密。
自画像の、眉毛のひとつひとつのカールしてるところや、
母親の絵など写真以上に写実という感じ、見ごたえがあります。

鬼才の版画家エッシャー(1898-1972)は、
オランダの人らしいですが青年期にイタリアに長く滞在していたんですね。
それで、早速アマルフィの急坂に造られた迷路のような路地を描いている。
でもそこがエッシャーなので、南国の土の香りというか、そういう甘い雰囲気が
消えているように感じられるアマルフィと化しています。
(アマルフィ行った事はないですがTVで特集を見たら、
海があって眺めがよくて夏が早くて、ちょっと長崎みたいなところでしたv)

それからイタリアのほかの都市の景観や建物。
水車の水が滝になってまた落ちてくる有名な「滝」や、
人形のような、揃いすぎて人格の見えない人々が「上昇下降」
でも見ていてもどちらをしているのかわからない屋上の風景、
中の梯子がかけた先では外に出ている立方体な建物、
そういう系統の建物の原点はイタリアにあるようです。
そしてその奇妙な整い方をした建物の狭い庭にあるSF的な植物、
あれ実は、コケを拡大して描いてあるそうで、驚きましたが、 
それもこれも空間認識の常識への挑戦だったりする?・・・・・・何にしろすごい発想。

挿絵のような小品のコーナーの作品はどれも古さがなく、
それでいて自然なモチーフが多用されていて、眺めていて楽しめるものばかりでした。
「鳥に説教するフランチェスコ」の鳥が、かわいい小鳥は一羽もいなくて、
ちょっとへんな新世界の鳥(ワライカワセミとか)を連想させ、
フランチェスコは骨と皮ばかりの老人でした。ほとんどホラー挿絵。
でもこれは不思議と怖くもなかったです。
鳥が、怪鳥ばかりだけど顔つきが憎めなかったからでしょうかね。

個人的には、作風がもう実験に向かわないでここで終わって欲しかったかも。
後半の作品には有名なのが出てきました。勿論、すごいのはこれらが一番すごいのです。
でも爬虫類と魚とパズルのような、無機質なモノクロームは、
相変わらず緻密で尚且つ構造が面白くても壁にかけて眺めたい一品ではなかったです。
時代的に大戦があったせいなのか、一連の有名作のさらに後には
「(空間を)理解していると思ってもそれは嘘かもしれない」というひとつのテーマを
前を向いた明るい不思議さや洗練よりも、ある種の暗さが支配しているように感じました。
それも、決して時代遅れではなくて、現代においてふと気付くと漂っている不安と結びついて、
瞬間的に異様な迫力を持って見えるので、真剣に見入るとクラクラしてくるのです。
この感じは絵を見てというより、文学作品でよくある後味。

終盤、宇宙ぽい背景に飛び出した立方体に棲むカメレオンの視線は何に向かっているのか、
非常に気になります。

M.C.ESCHER ハウステンボス美術館コレクションによる エッシャー 空間泥棒の挑戦 は、
福岡県立美術館で30日までです。
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