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romancista
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11月は上旬はこじらせた風邪を治すだけに費やしました。
中ごろは遊びまわって、下旬からガーデニングに着手。それくらいが気温も良かったんです。

それから博物館に「カメオ展」を見にいきました。
390点は多い! そして古代からの一級品の数々。これがものすごいものという感覚がいまいちなかったのは、そのサイズのせいだと思われる。
古代の英雄や支配者の横顔を刻んだカメオ、それからルネサンスへ、
後半にはキリスト教関連や財力に任せた感じの豪華絢爛なものが連なっていましたが、
個人的には『イリアス』のコーナーのところで、鳥肌が立ちました。
あのコーナーがあったから、行ってよかったと思えるくらい。

名前が、プリアモスとか、ヘクトルになってて、トロイの王といえばプライアム、王子はヘクターと覚えている者としては読みづらかったけれど、作品を見れば誰が誰だか一目瞭然ですもん♪
特に、アキリーズ(アキレウス)に殺されたヘクター(ヘクトル)の遺骸を乞うプライアムの図は、いつまで眺めていても飽きません。トロイの王なのに、敵将のテントまでしのんでやってきて、ただ息子の死体だけ受け取りたいと願い出たプライアム。その様子に、従兄弟をやられてヘクターに仕返しすることしか頭になかったアキリーズも弱ってしまって、結局願いをかなえてあげるんですよね。
これらがキリスト教の図柄に負けずにシリースとして存在しているということに、ホメロス世界がいかにヨーロッパの人には身近な題材かがうかがえます。

それから後のほうにあった、黒人の顔を描いたシリーズ。
説明に、シェイクスピアのオセローや、妖精女王が可愛がったインドの子供のことに言及がありましたが、黒人の野性味と美と神秘性を思いきり引き出して表現してある気がしました。19世紀に流行った「高潔な野人」のイメージもついてきました。

それだけ、というのではありませんが、私としては、宝石としてキレイだとか、買えばいくらだとかよりは、そこに刻まれた表現の数々に、西洋精神史の流れを見ることができたのがよかったと思います。

「カメオ展」は、12月23日まで、福岡市博物館で開催中です。
終盤は増えるかもしれないですが、私が行ったときは空いてました。
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石橋美術館に行って来ました。私はこの展覧会を9月から待っていました。そうしてバラが見頃である11月を狙って、グッズと図録のための予算(笑)も確保して出かけていきました。
当日は曇り。予報も曇りだったけど久留米は雨かも知れないと思い、カサ持参。バスに乗るまでに図録が濡れては困るのでビニール袋も持参。

ところがこの日、バラは一旦咲き終わってカットされ、ねんりんピックがあっててそこらじゅうに看板と旗、紅白の幕の中には菊が並んでいるという有様。当然のことながら、庭園の雰囲気は台無しにされていました。
受付にさしかかり、図録の見本がないのでどこで買えますかと聞くと、図録はないんですと言われました。ガーン! じゃあきっとハガキもグッズもないんだろう、と覚悟して中へ。

いやー、久しぶりにターナーの本物を見ました。後期のではなくて、「カンバーランド州のコールダー・ブリッジ」とかのごく普通な風景画ですが、木々があって、川辺にカモ、というこの風景には十分ホームシックにさせてくれる魅力があります。
それからコンスタブルの「デダムの谷」これは、いくつかあるデダムの周辺の絵のひとつ。夏っぽいな。

それからウィリアム・ブレイクの作品が、7つもありました。そのうちの最初が「眠るダンカン王に近づくマクベス夫人」
ダンカンが、お酒かチョコレートのパッケージに描かれそうなヒゲのおじいさんてところは、意見したかったです。マクベス夫人は、「寝顔が父に似て」いたからダンカンを自分で刺せないのです。こんなくるくるっと描かれたダンカンでは、この顔が?そうですか、と思いたくなる。ダンカンの顔は向こうを向いていて、鑑賞する人には見えないといいのに。

バーン=ジョーンズの「フローラ」はポスターになっていた分です。
花のタネをまきながら、彼女は目がうつろ。この人もまた、(シャロットみたく)花の女神であることを強いられているように見えます。ウォーターハウスの「フローラ」は育ててない、摘んでる。でも一心不乱に摘んでいるから、やる気はこっちのほうがありそう。ただ、生い茂った藪のようなところで花摘みするから、オフィーリア予備軍に見えないこともないのですが。
ちなみに、近くに寄ると大分書き殴りな絵です。

ビアズリーの《サロメ》挿絵もありました。好きではないですが、見慣れているので、なんだか懐かしかった。

ところで明治には日英の交流があって、今ならフランスでしょうが、当時は日本人が絵を学ぶのにイギリスに行ったようです。(青木繁の師匠も英国派、で、青木もラファエル前派ばりの絵を描いたんですね)しかし、日本人が描いた雪はぼたん雪にしか見えない、オランダなのに福井県かどっか日本海側にしか見えない。この技術の以前にしみついた風土は、ヨーロッパの風景画にない湿度をもたらしています。逆に、イギリス人が描くと、箱根もさらさらと北国の丘になり、鎌倉に咲く一面のハスを見ても爽やかな初夏を連想してしまいます。
ノスタルジアと感じられたのは途中まで、後半の展示は比較文化としての風景画とでも呼びたかった。

はあ…図録ほしかったです。帰りは土砂降り、翌日は冷えこみ、その雰囲気はたしかに英国ぽく、意地でしっかり見てきた絵の数々を思い出しつつ、《ノスタルジア》まさに満喫致しました。

「郡山市立美術館のイギリス美術」は、久留米市の石橋美術館で、12月14日までです。
小雨の金曜日は狙い目ビンゴ!だったようで、ガラ空きでした。
場所は県立美術館。ちょっと狭いけれど作品が小さいのであまり気にならず。

初期のドローイングが好きでした。とにかく緻密。
自画像の、眉毛のひとつひとつのカールしてるところや、
母親の絵など写真以上に写実という感じ、見ごたえがあります。

鬼才の版画家エッシャー(1898-1972)は、
オランダの人らしいですが青年期にイタリアに長く滞在していたんですね。
それで、早速アマルフィの急坂に造られた迷路のような路地を描いている。
でもそこがエッシャーなので、南国の土の香りというか、そういう甘い雰囲気が
消えているように感じられるアマルフィと化しています。
(アマルフィ行った事はないですがTVで特集を見たら、
海があって眺めがよくて夏が早くて、ちょっと長崎みたいなところでしたv)

それからイタリアのほかの都市の景観や建物。
水車の水が滝になってまた落ちてくる有名な「滝」や、
人形のような、揃いすぎて人格の見えない人々が「上昇下降」
でも見ていてもどちらをしているのかわからない屋上の風景、
中の梯子がかけた先では外に出ている立方体な建物、
そういう系統の建物の原点はイタリアにあるようです。
そしてその奇妙な整い方をした建物の狭い庭にあるSF的な植物、
あれ実は、コケを拡大して描いてあるそうで、驚きましたが、 
それもこれも空間認識の常識への挑戦だったりする?・・・・・・何にしろすごい発想。

挿絵のような小品のコーナーの作品はどれも古さがなく、
それでいて自然なモチーフが多用されていて、眺めていて楽しめるものばかりでした。
「鳥に説教するフランチェスコ」の鳥が、かわいい小鳥は一羽もいなくて、
ちょっとへんな新世界の鳥(ワライカワセミとか)を連想させ、
フランチェスコは骨と皮ばかりの老人でした。ほとんどホラー挿絵。
でもこれは不思議と怖くもなかったです。
鳥が、怪鳥ばかりだけど顔つきが憎めなかったからでしょうかね。

個人的には、作風がもう実験に向かわないでここで終わって欲しかったかも。
後半の作品には有名なのが出てきました。勿論、すごいのはこれらが一番すごいのです。
でも爬虫類と魚とパズルのような、無機質なモノクロームは、
相変わらず緻密で尚且つ構造が面白くても壁にかけて眺めたい一品ではなかったです。
時代的に大戦があったせいなのか、一連の有名作のさらに後には
「(空間を)理解していると思ってもそれは嘘かもしれない」というひとつのテーマを
前を向いた明るい不思議さや洗練よりも、ある種の暗さが支配しているように感じました。
それも、決して時代遅れではなくて、現代においてふと気付くと漂っている不安と結びついて、
瞬間的に異様な迫力を持って見えるので、真剣に見入るとクラクラしてくるのです。
この感じは絵を見てというより、文学作品でよくある後味。

終盤、宇宙ぽい背景に飛び出した立方体に棲むカメレオンの視線は何に向かっているのか、
非常に気になります。

M.C.ESCHER ハウステンボス美術館コレクションによる エッシャー 空間泥棒の挑戦 は、
福岡県立美術館で30日までです。
北九州市立美術館・本館に、ジョン・エヴァレット・ミレイ展を見にいきました。
発音が一緒ですが、「落穂拾い」のジャン・フランソワ・ミレーとはまったく別人です。

この美術館は現代美術がそもそも専門らしく、とっても現代美術に相応しいデザインです。しかるに、ミレイはというと全然現代美術じゃないし、緑だらけのイギリスの自然一杯がコンセプト(それがラファエル前派)。しかもこの美術館に行くには、福岡からだとJRとバスを乗り継いで山の上まで結構な道のりがあります。周囲は何もなくて、眺めはいいのですがしかし工業地帯が一望できるだけというのはちょっと残念。
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