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romancista
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中島敦の『山月記』はまじめなエリートが虎になる話でしたよね。この話は、19世紀イングランドで、美しく若い奥様が、夫と散歩をしている最中に、ちょっと悲鳴をあげたかと思うと、狐になっているのです。

狐になってもやはり美しい狐で、夫は、理性の残るその狐を屋敷で面倒見ようとするのですが、狐狩の猟犬たちには隠し通せません。そしてやがて中身までも本物の狐になってゆく奥様。あるとき夫は、森で彼女の子狐たちに遭遇します。その子たちもかわいがってやって、いろいろ教えたり、しつけたりします。このあたりの夫の、彼女へのへんな執着と善人っぷりには目をみはるばかりです。(が、このようなとてつもない善人は、イギリスの小説にはたびたび出てきます)

あまり有名な文学作品ではないようですが、印象はすごく強かった。
大事な人がもし狐になってしまったら?
その答えを模索するテブリック氏の苦悩は深いですが、人はあさましい生き方をするから獣になるとかそういう教訓話では決してない。
原題、Lady into foxなんです。レディが狐になる。この場合の狐は、見つければかみ殺すのが当然と確信している犬たちに全速力で追跡される獣です。しかも彼女は、夫が保護する手を振り切って危険な森を選ぶ。それは、極端な形ではあるけど「自由」を象徴しているし、結末がああなるのはやはり、当時の社会で自由を貫くこと(特に女性の)が何をもたらすか、という意味もあると思います。
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